ひとのことラボの萌仔です。発達障害の特性がある人と関わる中で、もしかして自分って生きづらい側の人間なのでは…?と気づきました。
自分の自意識に絡めとられて眠れなくなる夜もあるし、誰かに言われた一言を消化できなくてずっともやもやイライラしていることもあります。力を抜いたほうがいいと言われても、「力の抜き方が分からないんだよ~…」となることもたくさん…。現在進行形で、生きづらいな~と思っています。
この記事にたどり着いてくれた人は、同じように悩んでいるのではないでしょうか。
というわけで、この記事では、「生きづらさ」について分かってきたことや、私がやってみて生きづらさの解消に効果を感じた方法を書いていきます。
生きづらいってどういうこと?
「生きづらさ」って、何でしょう。
色んな生きづらさを抱えている人たちがいます。
- 正義感が強すぎて周りに合わせられない人
- 小さなことが気になりすぎて常に気を張っている人
- 空気を読みすぎてうまく自分の言いたいことを言えない人
- その場をうまくやり過ごすために思ってもいないことをつい言ってしまう人
- 相手の気持ちを想像しすぎて、読み取ってしまう人
- 自意識が強くて自分の発言や行動に心の中でツッコミを入れ続けている人
こうやって並べてみると、「生きづらい人」は、「~すぎる」特性を持っているのではないかと仮説が浮かんできます。たぶん、「~すぎる」部分が社会とうまくマッチしていなくて、生きづらさにつながっているのです。
正義感が強すぎると、ちょっとルールを守らない人を見ただけでイライラしてしまいます。
でも、社会ではルールや規則があっても守られないことがよくあります。
ちょうどよい正義感であれば、「ルールは守った方が良いけど守らないことがあっても良いよね」とゆったり構えていられるかもしれませんが、生きづらい人はそうもいきません。
正義感だけじゃなく、優しさもそうです。誰かの気持ちを察しすぎると身動きが取れなくなります。
たとえば、誰かに「タイピングが早いですね」と言われたときに、「え、うるさいっていうことかな?」「スキルがあるってほめてくれているだけか…」「教えてほしいってこと?」と、一瞬にして頭の中に色んな可能性が思い浮かんでくると思います。そうなると、謝ればいいのか、喜べばいいのか、教えればいいのか分からなくなって、結局何もできなくなるのです。
生きづらさは、【~すぎる】特性と社会で求められていることがうまくかみ合わないから生まれる気持ちと言えるでしょう。
どうしてこんなに生きづらいのか
じゃあ、どうしてこんなに生きづらいんでしょうか。私の経験や、今まで接してきた人たちの傾向から考えていきます。
過去の経験
過去のネガティブな経験が生きづらさにつながっている可能性があります。
人からほめられるよりも否定されることが多かった人は、他者から何かを言われると「否定されている」と感じることがあります。たとえば、職場で「その靴すてきですね」とほめられたとき、相手にはそんなつもりがなくても、「靴について指摘された。職場に適さないということかも」と肯定的な意見を否定的なものに変換してしまうようなことがあるのではないでしょうか。
また、家族関係がうまくいっていなかったり、子どもの頃にいじめられたなど、傷つき体験を多くしてきたことが、ものの見方に角度がついたり、自分のことを否定したりすることにつながっているかもしれません。誰が見ても大変と思うような過去でなくても、親が怒りっぽかったり、ちょっとだけ仲間外れにされた経験なども、大人になってからの人との接し方や物事の捉え方に影響を与えるでしょう。
理想の自分とのギャップ
「僕は嘘をつかない」「私は矛盾した発言はしない」など、理想像があると、現実の自分とのギャップに苦しむことがあります。理想をもつことが原動力となることもありますが、自分をしんどくさせる要因となることもあるでしょう。
たとえば、私は、「嘘をつかない正直な人でありたい」という理想を持っています。でも、日々過ごしていると、嘘をつかないとやりすごせない場面も出てきます。対人関係では特にそうです。なんでも正直に受け止めすぎたり言いすぎたりすると、人間関係に亀裂が入りやすいです。だから、お世辞を言ったり本心では思っていないことを言ったりします。そんな自分と、「嘘をつかない正直な人」である自分との間に矛盾を感じて、「私はこんな人じゃない」「なんで嘘をついたんだろう」と常にモヤモヤしてしまいます。
理想像を持っていると、その理想に合わない行動を自分がしたときに、自分で自分を許せなくなってしまいます。「こうありたい」「こうあるべき」という自分自身に対する考えも、生きづらさの要因のひとつと考えられます。
感情を逃がすことが苦手だから
感情のコントロールが苦手なことも、生きづらさの要因のひとつになり得ます。
敏感に他者の気持ちを読み取り、その人の感情まで請け負ってしまうと、自分の中に不安や心配、怒りやモヤモヤなどが生まれてきます。その感情を上手に逃がすことができず、蓄積されて行って、慢性的な生きづらさにつながっている可能性があります。
心が動くことはだれでもありますが、その程度が大きく、感情をコントロールすることができないと、常に心が波立っている状態で、生きづらくなってしまいます。
発達障害の可能性があるから
発達障害の特性を持っているから生きづらい可能性もあります。
たとえば、ASD(自閉症スペクトラム障害)には、「こだわりの強さ」や「細かいことが気になりすぎる」特性があります。こだわりの特性が強いと、自分で決めたルーティンを変えるのが難しかったり、ペースを崩されることに大きな抵抗感を感じたりします。
他にも、ADHD(注意欠如多動性障害)の場合、行動や発言を自分でコントロールすることが難しい特性があります。思いついたことをそのまま言ってしまったり、頭で考える前に行動したりする失敗につながることも多いです。
こうした発達障害の特性は社会になじまない部分も多く、不適合につながる場合があります。
環境が自分と合っていないから
生きづらさの理由は、環境と自分の性格が合わないからかもしれません。
童話の「みにくいアヒルの子」をご存じでしょうか。
アヒルの群の中で、他のアヒルと異なった姿のひなが生まれた。アヒルの親は、七面鳥のひなかもしれないと思う。周りのアヒルから、あまりに辛く当たられることに耐えられなくなったひな鳥は家族の元から逃げ出すが、他の群れでもやはり醜いといじめられながら一冬を過ごす。生きることに疲れ切ったひな鳥は、殺してもらおうと白鳥の住む水地に行く。しかし、白鳥たちの意外な反応にひな鳥は水面に映る自分の姿を見る。いつの間にか大人になっていたひな鳥は、自分がアヒルではなく美しい白鳥であったことに気付くと、それまでの悲しみから解放される。
みにくいアヒルの子は、どんな人でも環境を変えれば輝くことができるとも解釈できる物語です。
今いる場所で生きづらさを感じている人も、自分の居場所を見つけることで生きづらさが解消される可能性があります。
たとえば、工場の組み立て作業の仕事を想像してみてください。
手先が器用で丁寧な作業ができるから、と、組み立て作業の仕事に就いたAさん。Aさんは作業スピードがとてもゆっくりで、他の人のスピードについていけずにいつも自分を責めていました。その工場ではたしかに丁寧さよりも速さが求められています。なぜなら、最終チェックを次の工程で行うからです。ここで、Aさんが最終チェックの工程に異動したらどうでしょうか?丁寧さを発揮することで、すごく重宝されて、自分で自分を認められるようになるかもしれません。
みにくいアヒルの子のように、アヒルにはアヒルの、白鳥には白鳥の、人には人の居場所があります。
自分の居場所とちがう場所にいてしまうと、それだけ社会と自分の溝が深まって、生きづらさも増幅していくのではないかと思います。
生きづらさと付き合う方法
それでは、生きづらさと付き合っていくにはどうしたら良いのでしょうか。私が実際にやってみて効果を感じている方法を共有していきます。
気持ちを書き出す
気持ちを書き出してみると、頭のモヤモヤが少し晴れます。私の場合、眠れない夜にはノートに自分の気持ちとその気持ちになった原因をバーッと書き出していきます。そうしていくうちに、モヤモヤが頭から離れて文字に移っていく感覚になって、客観的に現状を見つめることができるようになります。
この時、どんなツールを使うかも結構大事です。
まずは、デジタルよりも紙を使うことです。スマホに書き出しても良いのですが、実際にやってみると、変換履歴が残っているため文字を打たなくてもワンタップで文章が作れたりして、「自分の気持ちを吐き出してる感覚」を得られづらくなります。
私のおすすめは、罫線のない真っ白なノートを使うことです。罫線がないノートを使うことで、罫線の中におさめなきゃいけないとか、きれいに書かなきゃいけないとかの雑念を減らせます。できるだけ、雑念が生まれないようなツールを使う方が自分の気持ちを向き合うことができます。
書き出すのは本当におススメの方法ですが、ぐるぐるとマイナスなことを考えていて眠れない時に、「気持ちを書こう」と切り替えるのは難しいと思います。最初は起き上がるのもつらいですが、やってみると確実に効果を感じて、徐々に切り替えられるようになるはずです。
変えられることと変えられないことを意識する
生きづらさを抱えていると、自分では変えられないものを変えようとして、変えられないからそれが心の不調につながることがあるのではないでしょうか。自分でコントロールできるものとコントロールできないものを知り、コントロールできるものだけに目を向けられるようになることも、生きづらさを解消するための方法のひとつです。
過去のことをいろいろ思い出して後悔したり、怒りを感じてしまったり、人の気持ちを推し量りすぎてしんどくなったりすることも、生きづらさを感じている人には多いのではないかと思います。
でも、過去や人は自分の力で変えられるものではありません。時間を巻き戻して過去起こったことをどうにかすることはできないし、人の考えや行動を思った通りに変えることも難しいです。
もし、過去や人のことを考えすぎてしんどくなってしまうのであれば、「変えられるのは未来と自分だけ」と意識づけると少し楽になるかもしれません。すぐに意識を変えることは難しいですが、「あ、いま過去のことを考えてネガティブになっているな」「人が思い通りに動かなくてイライラしているな」「あの人の気持ちを考えすぎてモヤモヤ」しているなと気づくことから始めて、「過去と人は変えられないのだから考えても無駄!」と思えるように日々トレーニングを積み重ねていくことが大切です。
考え方を変える
生きづらさの要因となっている自分の考え方のクセと向き合うことも、生きづらさの解消につながる可能性があります。
生きづらさを生んでいる考え方のクセには、
- 「~すべき」と自分ルールが多い
例)遅刻したら謝るべきと考え、他者にも謝罪を求める - 少し悪いことが起きると、全部だめだと考える
例)仕事で嫌なことがあると、すぐに「辞めたい」と思ってしまう - 人の良くない部分を見ると、それがその人のすべてだと思う
例)愚痴を言っている人を見て、「あの人は意地悪な人だ」と決めつける - 相手の気持ちを推し量りすぎる
例)いいことを言われても、何か裏があるのではないかと思う - 「きっとこうなるだろう」とネガティブな未来を想像する
例)面接の前日に、「絶対に頭が真っ白になるだろう」と思って眠れなくなる
などがあります。
こうした考え方に縛り付けられて、とても窮屈になってしまうことがあると思います。
自分がどんな考え方になりやすいのかを知ることが大切です。その上で、「本当にそうなのか?」「もっと別の考え方はできないのか?」と意識する場面を積み重ねて考え方を柔軟にしていくと、自分も楽になっていくでしょう。
考え方を変える方法はいろいろあります。私のおすすめは、【〇〇さんだったらどう考えるかな】と誰かの考えに置き換えることです。生きづらい人は、相手の気持ちを推し量る能力が高い人が多いため、やりやすい方法なんじゃないかなと思います。
〇〇さんは、尊敬する人でも、推しでも、芸能人でも、キャラクターでも、だれでも良いです。ただ、なるべく自分の考えとは違う人の方が良いですね。(自分と同じ考え方だとより深みに入ってしまう可能性があります…)
私はよく、好きなアイドルや作家を思い浮かべて、あの人だったらこの状況をどう考えるかな~と想像しています。そうすると、「ルールを守れって言っているのに守れていない自分が嫌だ」と思っていても、だんだんと、「人なんだからそういうこともあるよ。それが人間の面白さじゃん」と変わっていきます。考え方を変えた後は、不思議と気持ちが少しだけ軽くなります。
過去の自分と向き合う
そして、気持ちに余裕があるのであれば、自分が生きづらい理由と向き合うこともしていきましょう。
どうして今自分は生きづらさを抱えているのか?その理由は、おそらく過去にあります。
それが家庭環境にあるのか、誰かに言われた一言にあるのか、傷ついた経験にあるのか、生まれ持った特性なのか、環境のせいなのかは、自分以外のだれにも分からないことです。すごく精神力のいる怖い作業ではありますが、自分の過去やってきたことや言われたこと、その時の気持ちを書き出して、自分の生きづらさの理由を探ることも長期的な生きづらさの解消に効果があるでしょう。
過去を振り返るときは、「経験/出来事」「気持ち/思ったこと」の両方を思い出すと良いです。どちらか一方だと、どんな出来事のときに生きづらさにつながる気持ちなるのかが分かりづらくなってしまいます。必ず両方思い出すようにしましょう。
振り返り方はいろいろあります。ひとりで紙やWordファイルに書き出してみるのも良いですし、だれかに話を聞いてもらって整理するのも良いと思います。ひとりで書き出したものをだれかに見せて客観的な意見をもらうのもありでしょう。振り返りが完了したら、全体を見て、何が自分の生きづらさにつながっているのかを紐解いていきます。共通点を探していくとやりやすいです。
かなり根気のいる作業で、自分ひとりでは難しいことも多いと思います。信頼できる誰かと一緒に進めていき、少しずつ生きづらさの根っこと向き合えると良いのではないでしょうか。
だれかに頼る
生きづらさを自覚している人たちは、だれかに頼ることや人と関わることが苦手だと思います。
だれかに相談すれば変わることは分かっているけど、それができないから悩んでいることも多いです。
私自身もそうで、だれかに相談をするくらいなら自分の体力やお金を使って解決するほうが楽に感じます。でも、時にはだれかに頼らないと自分がつぶれてしまうことがあります。
まずは、信頼できる人を見つけましょう。信頼できる人って色んな要素がありますが、「自分がその人にウソをつかない」「相手も自分にウソをつかない」「だれかに勝手に話さない」「真剣に話を聞いてくれる」人がいると良いと思います。対面でもいいし、SNSでもいいです。友達や家族に話しづらければ、守秘義務が課せられているカウンセリングや行政機関に相談するのも良いでしょう。
相手を見つけたら、その人に少しずつ自分の気持ちを話していきます。話すのが得意じゃなければ紙に書いてもいいし、メールで伝えてもいいと思います。だれかに自分の持っている荷物を少しだけ預かってもらうイメージです。SNSにつぶやいても良いですね。
誰かに話すと、問題が思ってもみなかった方法で解決されることもありますし、そうでなくても自分の気持ちが軽くなります。本当に、抱えていた荷物をおろせた感覚になります。
誰かに頼ることはハードルが高い方法ですが、やってみる価値はあると思います。
たくさん食べて、好きなことをして、よく寝て、自分を好きでいる
一番大切なことは、自分を好きでいることです。
気力がないときは、だらだらとスマホのショート動画を延々と見続けてしまったり、何にもしない時間が続いたりすると思います。でも、この時間を続けていたらどんどん自分のことが嫌になってしまいます。自分のことが嫌になると、また「なんでこんなこともできないんだろう」と考えるようになって、生きづらさにつながるでしょう。
規則正しい生活を送ることは、気持ちを清潔に保つためにも必要です。
7時間以上睡眠をとれると、「ちゃんと寝れたじゃん」と自分を認めてあげられます。三食食べると、「忙しいのに食事をしっかりとってえらいな」と褒めてあげられます。こうやって自分を認めてあげる時間が、生きづらさを感じている人にとってはとても大切だと思います。
そして、自分を労わるセルフケアの時間も設けましょう。
推しに触れる、手芸をする、おしゃれをする、料理をする、ゆっくりお風呂に入る、美容をがんばる、映画を見る、旅行に行く、なんでも良いです。「自分を大切にできたな」とも思える瞬間を増やすことで、自分を少し好きになれて、生きづらさの軽減につながるのではないかと思います。
まとめ
生きづらさは、甘えではありません。生きづらさを感じている人は、自分でもどうにかしたいけど、どうしたらいいか分からないと思っています。
生きづらさとうまく付き合うためには、自分に合った方法を見つけることが大切です。この記事でご紹介した方法を取り入れていただいても良いですし、他の本やブログに載っているものでもOKです。とにかくどれが自分に合うのか、試してみてください。
当記事で紹介した方法をまとめておきます。
- 気持ちを書き出す
- 変えられることと変えられないことを意識する
- 考え方を変える
- 過去の自分と向き合う
- だれかに頼る
- たくさん食べて、好きなことをして、よく寝て、自分を好きでいる
生きづらさを抱える自分のことを愛して、上手に付き合っていきましょう。