この記事では、自分と仕事のマッチング=自分と仕事の共通点を見つける方法を解説しています。
「自分に合う仕事がわからない」
「適性のある仕事に就きたい」
「仕事の選び方が分からない」
こんな風な悩みを持っている方の解決の糸口になればうれしいです。
自分に合う仕事が分からないのは「自分」と「仕事」の性質を理解していないから
「自分に合う仕事」は、とてもシンプルな構造をしています。
下の図の、「自分」と「仕事」が重なり合っているところが、「自分に合う仕事」です。
「自分に合う仕事」は、「自分の性質」と「仕事の性質」が一致することによって生まれています。
つまり、自分に合う仕事が分からないという状況は、「自分の性質」と「仕事の性質」のどちらも、もしくはどちらか一方の理解が不足していることだと言えます。
まずは自分の性質を理解する
自分の性質は、次の5つに分けることができます。
この5つが、自分に合う仕事を見つける鍵です。
- やりたいこと
- 大切なこと
- 好きなこと
- 生まれ持った特性
- できること
キャリア発達理論を唱えたドナルド・スーパー先生が、職業とのマッチングを考えるときの自己理解について、「能力」と「パーソナリティ」に分けて整理しています。
スーパー先生によると、能力は適正・技量に分かれます。
さらに、適正は認知の仕方や頭の回転の速さなどが含まれ、技量には学習や技能が含まれるなど、さらに細かく分類されています。
かみ砕いて考えてみると、能力は下の図のような形で分けることができます。
パーソナリティは、適応・価値観・興味・態度に分かれます。
この分類をもとに考えてみると、パーソナリティは「やりたいこと」「大切なこと」「好きなこと」の3つの要素に分けることができました。
それでは、具体的にこの5つの要素を知る方法を共有していきます。
過去の思い出のたなおろし
過去の思い出を振り返ることで、パーソナリティを整理することができます。
おすすめの振り返り方は、紙に書き出す方法です。
頭の中で振り返るだけでは、思い出を客観的に見ることが難しくなります。紙に書き出して可視化することで、自分が大切にしてきたことや好きなことが見つかりやすくなります。
書き出すときには次のような視点に立つと良いでしょう。
- 楽しかった思い出は?
- 今までどんな時にワクワクした?
- 自分を認められた経験は?
- だれかに褒められた経験は?
- 悔しかった経験は?
- 居心地が良かった環境は?
- 充実していたのは何をしていた時?
- 幼稚園のときに好きだったことは?
たとえば、次のように振り返っていきます。
- 充実していたのは何をしてた時?
→勉強。大学時代が一番充実。
レポートを書くのが好きで、
めんどくさいと口では言いつつも、結構本気で取り組んでいた。 - 悔しかった経験は?
→大学時代、本を紹介するゼミの授業でうまく言葉が出てこなくて悔しかった。 - 自分を認められた経験は?
→大学のゼミ発表に選ばれたこと。小学生のときに文化祭の出し物を提案して採用されたとき。作文をほめられたとき。幼稚園でお芝居を自分で作ってほめられた。がんばったことが認められてうれしかった。
ある程度書き出せたら、思い出の共通点をまとめてみます。
- 頑張って成果を出すことが好き
- 自分の考えで評価を受けるのが大切
- 知識が大切
- 文化的な取り組みが好き
- 創作することが好き
振り返り方は、質問に対して思い出せることを箇条書きにしていっても良いですし、時系列に思い出せるものから書き出していってもOKです。
書き出したら、区切りの良いところで全体を眺めて、共通点を探します。
共通点は、「〇〇が好き」「△△が大切」「◇◇がやりたい」の形で別の紙に書き出しておくと、後から整理がしやすくなるのでおすすめです。
過去の作業のたなおろし
過去の作業を振り返ることで、能力を整理することができます。
こちらも、思い出と同様に紙に書き出していきますが、方法が少し違います。
作業については、「特性」と「できること」に分けて考えます。
まずは、特性を棚卸ししていきましょう。
特性は、「生まれ持って自分に備わっている能力」のことを指します。
メジャーなところで言うと、右利き・左利きなんかがそうですね。
簡単には変えることができないというのが、特性の大きな特徴です。
たとえば、人には次の2つの特性が備わっています。
- 情緒特性(気持ち)
→どんな感情を抱きやすいか - 認知特性(考え方)
→どんな風に物事を捉えて、考えて、処理しているか
情緒特性を知るには、思い出を振り返るときに感情も一緒に書き出すと良いです。
そうすると、自分が強く感じやすい感情や、その感情が出てくる傾向をつかむことができます。
次に、認知特性を知るには、まずは認知の型を知り、自分がどのタイプに当てはまるのか、経験を振り返りながら考えてみましょう。
代表的な認知特性として、4つほどご紹介します。
- 聴覚優位/視覚優位
→聴覚情報、資格情報どちらの方が理解しやすいか - 同時処理/継次処理
→順番に考える方が得意か、ざっくり捉える方が得意か - ワーキングメモリー
→一時的な記憶保管場所の大きさ - 処理速度
→作業スピードは速いか、遅いか
次に、「できること」を棚卸していきます。「できること」は、客観的に評価ができるものであると良いので、資格やスキルなどをどんどん挙げていきましょう。
一例として、できることを洗い出すための項目を共有します。
- 取得資格・検定
- PCスキル(officeツール/タイピング/Googleアプリ/コードなど)
- 語学力
- 体力
- 表彰された経験
- 仕事やサークル活動で人からほめられたことは?
- よく人にお願いされることは?
- 他の人がめんどくさがるけど自分は苦にならないことは?
検査
心理検査も、自分の性質を知るのに有効な方法です。
いくつか代表的な検査をご紹介します。
WAIS検査
自分の能力を知ることのできる検査。
調べることができるのは、処理速度、ワーキングメモリー、言語理解(言葉で表現する力)、知覚処理(情報をまとめて考える力)の4項目です。
費用は、15000円~20000円程度。
メンタルクリニックで受けることも可能ですが、自己理解を目的として検査センターで受けることもできます。
日本検査センター
価値観・興味検査
手軽にWEB上で受けられる検査です。
厚生労働省が運営しているjobtagというサイトで受けることができます。
選択式の検査になっていて、「あっこれワクワクする!」「楽しそう!」と思える選択肢に出会うことができます。
自分の興味や価値観に気づくとっかかりになりますよ。
職業適性テスト
こちらもWEBで簡単に受けられるテストです。自分の得意分野を知ることができます。
テストは、図形を動かしたり言葉を選んだり計算するなどの作業系のもので、自分の得意分野・不得意分野がはっきりと分かります。
手軽に受けられる検査なのに、しっかり自分の納得できる結果が出てきますよ。
心理検査は、客観的に自分を把握するのに有効な方法です。
自分ひとりで考えていてもなかなか分からないという方は、検査を受けることも検討してみてくださいね。
仕事を選ぶ視点を決める
自己理解が深まったら、集まった情報をもとにして、仕事を選ぶ視点を決めていきましょう。
ここまで、色々と自分について振り返り、自己理解を深めることができました。
自己理解した「やりたいこと」「好きなこと」「できること」「価値観」「特性」すべてに当てはまる仕事が合ったらブラボーですが、なかなかそうもいきません。
そのため、自分の中で大切にしたい要素の順位付けをすることが必要になります。
まずは、自分について分かった要素を並べてみます。さらさらっと、箇条書きにしていきます。
- 自立しているときに満足感が高い
- 自由でいると楽しい
- 手先を動かす作業が得意
- 体力があまりない
- 家族や友人と過ごしているときが好き
- 新しい知識を得ることが好き
- 褒められると嬉しい
- 順番に考えることが得意
- 文章力をよくほめられた
- ゆっくりじっくり考えることが得意で好き
そして、自分の中で大切な順に並べ替えます。ここはじっくり考えて決めましょう。
途中で「なんかちがうな」と思ったら順位を入れ替えても大丈夫です。
ここが決まっていないと、仕事選びも難航していきますし、ミスマッチが生まれやすくなるので慎重に考えてください。
- 家族や友人と過ごす時間
- 新しい知識を得られること
- 自立して暮らせること
- 自由であること
- 自分の能力を活かせること(文章力、順番に考える力、手先を動かす力)
この優先順位をもとに、いよいよ自分に合った仕事を探していきます!
自分に合った仕事を見つける
自分が大切にしたい自分の要素が分かったら、それをもとに仕事探しです。
まずは、、優先順位を付けたものに対して、「どんな仕事だったらその条件を叶えられる?」と問いかけます。
上の例でいくと、「家族や友人と過ごす時間」が1位にきていて、プライベートの時間の確保が必要そうです。
そして、2位は知識を得ること。単純作業系の職種だと難しい、と想像がつきますね。
こんな風に、「自分が大切にしたいことを実現できる仕事」を探していきます。
条件の絞り込み
プライベートを大切にしたいという価値観があったり、体力があまりない人は条件を絞るのが大切です。
実際に生活するのにいくら必要なのかや、どれくらいの休日があれば自分がしたいことができるのかなど、現実的に考えて条件を絞り込みましょう。
仕事の要素①条件
- 就業時間
- 勤務地
- 給与
- 休日日数
- 福利厚生
- 転勤のあるなし
- 在宅勤務の有無
職種の絞り込み
職種は「やりたいこと」「できること」から絞ると良いでしょう。
「能力を活かしたい」のであれば、「できること」を基準に、「やりがいを感じたい」なら「やりたいこと」を軸に探すのがおすすめです。
仕事の要素②職種
- 事務職
- 営業職
- 販売職
- 対人援助職
- ドライバー
- ライター
- 編集者
- 企画職 などなど
このふたつが絞り込めたら、あとは個々の求人を見たり、jobtagで職業検索をしたり、youtubeで色んな職業の動画を観たりして、企業や仕事の雰囲気が自分のパーソナリティに合っているか、求められる仕事の質が能力と見合っているかを確かめていきます。
集めた情報はリストにまとめたり紙に書き出したりしておくと、後から見返すことができて便利ですよ。
まとめ
以上、自分に合う仕事の探し方について解説していきました。
自分に合う仕事を見つけるためには、自己理解がとても大切です。
自分のパーソナリティと能力をよく知って、それに見合った仕事を見つけることでミスマッチを防ぐことができます。
ひとりで考えることが難しい方は、キャリアカウンセリングに申し込んで、プロに一緒に整理してもらうのもオススメです。
この記事が、皆さんらしく働くためのきっかけとなっていたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!